2021.10.19 タオル作成コラム
オリジナルタオルの作成方法によく使われる「顔料プリント」と「染料プリント」。 初めてオリジナルタオルを作る方には何が違うのか、良く分からない事も多いと思います。
そこで今回は顔料プリントと染料プリントの特徴や違いについて、初めての方にも分かりやすくご紹介していきます。 それぞれメリット・デメリットがあるので、知っておくとオリジナルタオルの制作にきっと役立ちますよ!顔料プリントと染料プリントの一番の違いはプリントに使用するインクです。顔料プリントは顔料インク、染料プリントでは染料インクを使ってそれぞれプリントしています。 このインクの名前が、そのまま印刷方法の名前にもなっているんですね。
顔料と染料、どちらのインクを使うかによって、タオルに印刷されるデザインの印象や、肌触り・吸水性などが変わってきます。 どちらにもメリット・デメリットがあるので、違いを理解しておくと理想のイメージに近づけることが出来るでしょう。
それぞれの詳しい特徴については後ほどお伝えします。
顔料プリントと染料プリントでは印刷範囲も異なることが多いです。顔料プリントは範囲内の枠有りプリント、染料プリントは生地の端まで印刷できる全面プリントに利用される傾向にあります。
顔料で生地端まで全面印刷したり、染料で範囲内の印刷にすることもできますが、それぞれの特徴を生かすためこの様な印刷範囲に設定されることが多いので覚えておきましょう。
名入れタオル市場でも顔料は枠有りの広範囲印刷、染料は全面印刷(手ぬぐいを除く)でご提供しています。
※日本手ぬぐいは広範囲印刷・全面印刷共に顔料インクを使用しています。
前置きが長くなってしまいましたが、ざっくりとした違いはこんな感じです。では具体的にどう違うのか、インク毎にもっと詳しく見ていきましょう。
こってりとして少し硬めの「顔料インク」を用いた印刷方法です。タオルに印刷すると生地の表面にインクが乗る感じになります。印刷後には、乾燥機を使って生地にインクを定着させます。
名入れタオル市場では広範囲印刷のタオルと日本手ぬぐいが顔料インクを使用しています。
顔料インクを使用する顔料プリント(広範囲印刷)の最大のメリットは「低価格・短納期」です。
速乾性に優れる顔料インクは、作成にかかる作業や時間的なコストを抑えることができます。そのため染料プリントに比べて割安で、製作期間も短くなります。
そして価格の割に品質も良いという点も嬉しいところ。手軽に印刷できるため、オリジナルタオル作成に最も人気のある印刷方法となっています。 数あるオリジナルタオルの印刷方法の中でも、コストパフォーマンスに最も優れていると言ってもいいでしょう。
デザインの仕上がり面では、にじみが少なく細部のデザインが潰れにくいというのが顔料プリントの強みです。 全体的にシャープな印象で、くっきり・はっきりしたデザインのオリジナルタオルになります。
画数の多い漢字を小さく印字したい場合や、ロゴやイラストの細かい部分を出来るだけ綺麗に仕上げたい時は顔料プリントがおすすめです。 タオルへの印刷なのである程度の限界はありますが、染料プリントに比べてデザインが潰れにくくなります。
また、顔料プリントでは白以外の生地色にもプリントすることも可能です。(ただし、白色の印刷や生地色より薄い色は印刷出来ません。)
顔料プリントのオリジナルタオルは、より低価格で生産できるように範囲内の印刷としている場合が多いです。 そのため、端から数cm程度は印刷できないことが多いので注意が必要です。
名入れタオル市場でも顔料インクを使用した広範囲印刷は範囲内の印刷となっています。
また、顔料インクはタオルの生地表面だけに付着するため、印刷した部分の毛足を分けると地の色が見えます。 その影響で濃色(黒や紺など)の発色がすこし薄めの色に仕上がるため、印刷面積の広い濃色での印刷には不向きとなります。
それ以外にも、染料インクに比べると洗濯時に色落ちが起こりやすい点や、印刷部分の肌触りは少し硬くなり、水を吸いにくくなるといった短所もあるので注意が必要です。
顔料プリントのデメリットとしては上記の様な点が挙げられますので、制作前にチェックしておくと良いでしょう。
ちなみに色落ちや肌触りはあくまで染料プリントと比較した場合です。 顔料プリントでも極端に色落ちすることはありませんし、硬くて使えないという程ではないのでご安心ください。 それよりもメリットの方が大きいので、オリジナルタオルの印刷に最も人気の印刷方法となっています。
タオルの生地に直接染み込む「染料インク」を用いた印刷方法です。タオルに印刷すると繊維そのものにインクが浸透します。名前の通り、「染める」イメージですね。
名入れタオル市場では全面印刷のタオル(手ぬぐいを除く)に染料インクを使用しています。
染料プリント(全面印刷)一番のメリットは「タオルの肌触り・吸水性を損なわずに印刷できること」です。
染料プリントで印刷されたタオルはナチュラルな肌触りで、高級感のあるオリジナルタオルに仕上がります。 繊維自体を染色しているので洗濯堅牢度が高く、色落ちしにくい点も染料プリントの特徴です。
顔料プリントに比べると価格は上がりますが、贅沢な質感のオリジナルタオルにすることができます。
デザインの仕上がりは、柔らかくマイルドな印象になります。 染料インクは生地の奥まで染色出来るため、元の白地が覗く事もほとんどありません。 そのため、黒や紺などの濃色を深く鮮やかに印刷することが出来ます。
(ただし、タオルの裏面は白のままです。)
特に背景の塗りつぶしなど、ベタ印刷のあるデザインの場合は染料プリントの方が綺麗に仕上がります。 より高級感のある印象になるようにタオルの全面、生地端まで印刷できることがほとんどです。
染料プリントでは、インクを定着させるために高温での「蒸し」工程、余分な染料を洗い流す「洗い」工程が必要になります。 これらの作業が増えるため、顔料プリントのオリジナルタオルよりも製作費用は高く、納期も長めになります。
タオル全面に印刷する場合はさらに縫製などの作業も必要になるので、枠有りの顔料プリントに比べると結構な価格差になります。 もちろん費用に見合った品質となりますが、コスト重視で出来るだけ安くしたい場合は顔料プリント(広範囲印刷)の方がおすすめです。
デザインに関するデメリットとしては「インクのにじみ」が挙げられます。染料インクは生地に浸透していく過程で、多少のにじみが発生します。 そのため、細かい部分はデザインが潰れやすくなってしまいます。
染料プリントの場合は、複雑なデザインを避けて文字やイラストを大きめのデザインにすることがおすすめです。 また、ヘムやミミといった生地端の縫製部分に柄が入ると、段差により綺麗に印刷することが難しくなります。生地端は基本的にベタの塗りつぶしにすることがおすすめです。
染料プリントでは価格が上がる分、肌触りも良く存在感のあるオリジナルタオルを作成することが出来ます。 アーティストのライブグッズやプロスポーツチームのオリジナルタオル等によく使われており、本格派のオリジナルタオルを作りたい方は染料プリントで作成すると良いでしょう。
顔料プリント・染料プリントそれぞれの特徴についてご説明させていただきました。 顔料には顔料の良さ、染料には染料の良さがあるので単純に優劣を付けることは出来ません。
どのようなオリジナルタオルを作りたいかによって、最適な印刷方法は変わってきます。
ここからはどちらにしたら良いのかよく分からない方に、選び方のアドバイスや参考情報をお伝えします。 まずはオリジナルタオル作成のニーズ別に、おすすめの印刷方法をご紹介します。
※ちなみにグラデーションのあるデザインや写真などをフルカラー印刷する場合は、インクジェットプリントとなります。 インクジェットにも顔料・染料があり、前項で説明したような違いがあります。 名入れタオル市場のフルカラー印刷は、柔らかい風合いに仕上がる染料インクジェットプリントでご提供しています。
次に顔料インクを使った枠有りの広範囲印刷と、染料インクを使った全面印刷の簡単な比較表も作成しました。 どちらにするか比較・検討する時にお役立てください。◎、○、△の三段階評価です。
顔料インク (広範囲印刷) | 染料インク (全面印刷) | |
---|---|---|
価格の安さ | ◎ | △ |
納期の速さ | ○ | △ |
細かなデザイン | ◎ | △ |
印刷範囲の大きさ | ○ | ◎ |
濃色の発色の良さ | ○ | ◎ |
色落ちの少なさ | ○ | ◎ |
印刷部の吸水性 | ○ | ◎ |
印刷部の柔らかさ | △ | ◎ |